
林業の求人は、一般的な転職サイトだけでは見つかりません。林業特有の6つのルートを知っておくと、選択肢が一気に広がります。
林業界は慢性的な人手不足が続いています。林野庁「林業労働力の動向」によると、林業従事者数は2020年(国勢調査)時点で約4万4,000人。1980年の約14万6,000人から70%近く減少しました。
一方で、「緑の雇用」事業の効果もあり、新規就業者数は増加傾向にあります。事業開始前は年間平均約2,000人だったのが、事業開始後は年間平均約3,200人まで増えました。35歳未満の若年者率も17%に達し、異業種からの転職組が確実に増えています。
つまり「林業の求人がない」のではなく、「探す場所を知らない」だけです。一般の転職サイトに掲載される林業求人はごく一部にすぎません。森林組合や中小の林業事業体は、独自のルートで人材を募集しています。
編集部の現場メモ
求人サイトに出さず「知り合いの紹介」で採用する事業体は多いです。特殊伐採(住宅地でのロープワーク伐採)の専門会社は都市部にも存在しますが、こうした事業体の求人はほぼ口コミ。通常の山林作業とは別世界のキャリアがあることも、頭に入れておいてください。
ここからは、林業求人を探す6つのルートを、それぞれの強みと使い方とともに解説します。
林業の求人の探し方は6ルートある





6つのルートにはそれぞれ強みがあります。1つに絞らず、複数を組み合わせるのが鉄則です。
RINDO等の林業専門求人サイト


未経験から林業への転職を考えるなら、最初にチェックすべきは林業に特化した求人サイトRINDOです。
RINDOは株式会社RINDO(本社:長野県伊那市)が運営する民間初の林業専門求人サイトです。2024年1月のサービス開始以降、掲載エリアは30都道府県以上に拡大しました。森林組合や林業事業体を含む約50の事業体が求人を掲載しています。
RINDOが総合転職サイトと決定的に違うのは、求人票の情報設計が林業求職者のニーズに合わせてつくられている点です。一般の求人サイトでは「給与」「勤務地」「休日」程度しかわかりません。RINDOの求人票には、林業特有の情報が整理されています。
- 給与体系の明示:月給制か日給制かが一目でわかる
- 装備貸与の有無:チェーンソーや防護服が会社支給かどうか
- 住居支援の内容:社宅、家賃補助、移住支援の有無
- 研修制度の詳細:緑の雇用認定事業体かどうか、独自研修の内容
- 未経験歓迎の明示:経験不問の求人を条件で絞り込める
応募者の約3分の2が20〜30代で、採用率は約60%と高い水準です。求職者の利用料は無料で、会員登録なしでも求人検索ができます。LINEでの個別転職相談にも対応しており、スマホ1つで情報収集から応募まで完結します。
RINDOはまだサービス開始から2年程度のスタートアップです。すべての都道府県・事業体を網羅しているわけではありません。求人掲載が少ない地域もあるため、後述するハローワークや支援センターとの併用が効果的です。
使い方のポイントは、まず「エリア」と「未経験歓迎」で絞り込むこと。候補の事業体をリストアップし、企業ページで事業内容や社員の声も確認しましょう。比較検討したうえで、LINEや電話で相談すればミスマッチを減らせます。
RINDO以外では、全国森林組合連合会が運営する「緑の雇用」総合ウェブサイト(RINGYOU.NET)でも就業支援情報を得られます。ただし、こちらは求人検索の機能よりも制度紹介や就業ガイダンスの案内が中心です。
緑の雇用の認定事業体一覧





緑の雇用は「国が給料を払ってくれる制度」ではありません。事業体に対して研修費用を助成する仕組みです。この点は誤解が多いので注意してください。
「緑の雇用」事業は、林野庁の補助事業として全国森林組合連合会が実施する林業人材の育成制度です。都道府県知事の認定を受けた林業事業体に就職した新規就業者が対象で、働きながら体系的な研修を受けられます。未経験者にとって最も手厚い育成環境です。
研修は年次ごとにステップアップする仕組みになっています。
| 研修段階 | 対象 | 主な内容 |
|---|---|---|
| トライアル雇用研修 | 就業希望者 | 3ヶ月間の短期就業で適性を確認 |
| 林業作業士(FW)研修 | 1〜3年目 | 基本技術・安全管理・資格取得 |
| 現場管理責任者(FL)研修 | 5年目以降 | 現場リーダーの育成 |
| 統括現場管理責任者(FM)研修 | 10年目以降 | 複数現場の統括管理 |
認定事業体の一覧は、「緑の雇用」総合ウェブサイト(RINGYOU.NET)や各都道府県の森林組合連合会で確認できます。林野庁の「緑の雇用」事業ページにも事業概要や実績資料がまとまっています。
緑の雇用は、求職者が直接申し込む制度ではありません。事業体側が林野庁に申請し、認定を受けたうえで新規就業者を雇用する仕組みです。「緑の雇用を使いたい」なら、認定事業体に就職するのが前提になります。
求人に応募する段階で「緑の雇用対象か」を確認しておくことが重要です。RINDOでは「緑の雇用制度 利用可」の条件で求人を絞り込めます。



文字だけではイメージしづらい研修の様子や、実際に身につくスキルについては、こちらの最新公式ガイド動画で分かりやすく解説されています。
各県の林業労働力確保支援センター


地域密着の非公開レベルの求人情報を持っているのが、各都道府県に設置された林業労働力確保支援センターです。
支援センターは「林業労働力の確保の促進に関する法律」にもとづき、各都道府県知事が指定する公的機関です。すべての都道府県に1つずつ設置されています。林野庁「林業労働力確保支援センター一覧」で全国の連絡先を確認できます。
支援センターの強みは、ハローワークや求人サイトには載らない地元の求人情報を持っていることです。小規模な森林組合や個人経営の林業事業体は、求人サイトに掲載する予算や手間をかけられないケースが多く、こうした事業体の採用情報は支援センターに直接集まります。
具体的に受けられるサービスは以下のとおりです。
- 就業相談:仕事内容、必要な体力レベル、収入の目安をプロが説明してくれる
- 求人紹介:求人票に載らない職場の雰囲気や離職率の情報も聞ける
- 研修案内:林業就業支援講習(20日間・5日間・1日コース)の申し込み窓口
- マッチング:求職者の希望条件と事業体のニーズをすり合わせてくれる
アクセス方法は「○○県 林業労働力確保支援センター」でWeb検索するのが手軽です。全国森林組合連合会の就業支援ナビでも各都道府県の窓口一覧を確認できます。



移住をともなう転職を考えている人には、支援センターがとくに頼れます。住居支援の情報や地域の生活環境もあわせて相談できるので、求人探しと移住準備を同時に進められます。
ハローワークの林業カテゴリ検索


求人の網羅性で選ぶなら、ハローワークインターネットサービスが最も母数が多いです。職種分類の「農林漁業の職業」→「林業の職業」で絞り込むと精度が高くなります。
ハローワーク経由のメリットは3つあります。
- 求人数が最多:公的機関への届出義務があり、森林組合や自治体系の求人が集中する
- トライアル雇用助成金の対象:ハローワーク紹介で未経験者を採用した場合、事業体に月額最大4万円(最長3ヶ月)の助成金が出る。事業体側の採用ハードルが下がるため、未経験者が受かりやすくなる
- 無料の職業相談:窓口で林業への転職について相談できる
ハローワークの弱点は、求人票の情報量です。林業特有の項目(装備貸与の有無、緑の雇用対象かどうか、住居支援の内容)が記載されていないケースが多く、林業に詳しい相談員が常駐しているとは限りません。
ハローワークは「量」、RINDOや支援センターは「質」と考え、併用するのが現実的です。
マイナビ転職等の総合転職サイト
大手林業会社や待遇のよい求人は、Indeed、マイナビ転職、リクナビNEXTにも掲載されています。総合転職サイトに掲載される林業求人は全体の一部ですが、掲載事業体は比較的規模が大きく、給与・福利厚生の条件がよい傾向にあります。
| サイト名 | 林業求人の特徴 |
|---|---|
| Indeed | 掲載数が最多。ハローワーク求人も自動連携される |
| マイナビ転職 | 企業ページが充実し、社風がわかりやすい |
| リクナビNEXT | スカウト機能あり。経験者は声がかかることも |
メリットは、給与・休日・福利厚生の条件を他業種と横並びで比較できることです。「林業に転職したら年収がどれくらい下がるのか」を具体的にシミュレーションしやすい利点があります。
ただし、総合転職サイトだけで探すと選択肢がかなり限られます。林業専門サイトや支援センターで候補をリストアップしたうえで、総合転職サイトの情報で条件面を補完するのが効率的です。
森林組合への直接問い合わせ
求人サイトに一切掲載していない森林組合は多いです。直接電話で聞くだけで、競争率の低い求人に出会える可能性があります。
全国には約600の森林組合があります。林業の主要な雇用主の1つですが、多くは従業員数10名以下の小規模組織です。「人が足りなくなったら知り合いに声をかける」という口コミ採用が主流になっています。
各県の森林組合連合会のWebサイトには、管内の森林組合一覧が掲載されています。気になる地域の森林組合を見つけたら、電話で「現在、求人の募集はありますか」と問い合わせてみましょう。
- 競争率が低い:求人サイトに載っていないため、応募者が少ない
- 担当者と直接話せる:職場の雰囲気や作業内容を事前に聞ける
- 採用までが早い:書類選考→面接→内定のプロセスが簡略化されやすい



いきなり電話するのに抵抗がある人は、先に林業労働力確保支援センターに相談し、紹介してもらうほうがスムーズです。支援センターが間に入ることで、事業体側も安心して対応してくれます。
状況別の林業求人の探し方フローチャート





6つのルートのうち「どれから始めるか」は、経験レベルと住まいの状況で決まります。自分のパターンに合ったルートから動きましょう。
林業への転職を考える人の状況は大きく3パターンに分かれます。それぞれに合った最適ルートを示します。
未経験×移住前提の場合
移住をともなう林業転職は、「支援センターへの相談」を起点にするのが最も効率的です。求人と住まいの情報を同時に集める必要があるため、両方の情報を持っている支援センターが最適な窓口になります。
推奨する手順は以下のとおりです。
- 候補地域を2〜3ヶ所に絞る:気候や地形の好み、家族の事情から候補地を選ぶ
- 各県の支援センターに電話で相談:求人状況と住居支援の内容をヒアリングする
- 森林の仕事ガイダンスに参加:令和7年度はオンライン(Zoom)で2回開催。2025年11月8日(土)と2026年2月23日(月・祝)で、自宅から最大3つの都道府県の担当者と直接話せる
- RINDOで「エリア×未経験歓迎」で検索:候補事業体をリストアップし、求人票の条件を比較する
- 現地見学・体験:支援センター経由で事業体の見学を手配してもらう
移住先の選定では、地域おこし協力隊の林業枠も視野に入れましょう。報酬を受け取りながら最長3年間、林業を体験できます。任期後にそのまま地元の事業体に就職し定住するルートも開かれています(詳細は後述)。


未経験×現住所から通う場合
通勤圏内で林業の求人を探すなら、ハローワークとRINDOの2本立てが基本です。「林業に興味はあるが、いきなり移住は現実的ではない」という人は意外と多いです。
手順はシンプルです。
- RINDOのエリア検索:都道府県を選び、自宅周辺の求人をチェックする
- ハローワークインターネットサービス:市区町村単位で林業求人を検索し、RINDOでカバーされていない求人を補完する
- 支援センターに電話:通勤圏内で林業の雇用がある事業体を聞く
都市近郊でも林業の求人がある地域は存在します。東京都(奥多摩・檜原村)、埼玉県(秩父地域)、神奈川県(丹沢周辺)、大阪府(河内長野・和泉葛城山周辺)、愛知県(三河山間部)は、都市部からの通勤が不可能ではありません。



ただし現場までの通勤時間が片道1時間を超えるケースが大半です。通勤で体力を消耗すると現場の安全にも影響します。引っ越しは検討に値します。
経験者が好条件を探す場合
経験者が動くなら、RINDO・森林組合への直接問い合わせ・総合転職サイトの3ルートを並行させるのが鉄則です。
林業経験者は売り手市場にあります。林野庁の試算では、2030年に必要とされる林業従事者数は約4万3,000人。即戦力への需要は高い状況です。
経験者が重視すべき条件を整理しておきましょう。
- 月給制であること:日給月給制では天候に左右され、年収が不安定になる
- 資格手当:チェーンソー作業者、車両系建設機械運転者、林業技士の資格に対する手当
- 役職ポスト:作業班長や現場監督への昇進ルートが明確かどうか
- 賞与の有無と実績:求人票に「賞与あり」とだけ書いてある場合、支給実績を確認する
これらの条件が記載された求人は、RINDOの詳細な求人票で最も見つけやすいです。加えて、支援センター経由で非公開の好条件求人にアクセスできるケースもあります。
支援センターの担当者に「経験○年、保有資格は○○で、月給制・賞与ありの事業体を探している」と具体的に伝えれば、マッチする事業体を紹介してもらえる可能性があります。
編集部の現場メモ
経験者の転職では業界内の人脈が強力です。林業は従事者数が約4万4,000人の小さな業界で、横のつながりが強い。研修や業界イベント(FORESTRISE等の展示会)で知り合った人からの紹介で動くケースが実際に多いです。


林業の求人票で見るべき5つの確認項目





林業の求人票は一般の転職求人と見るべきポイントが違います。この5項目を確認すれば、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防げます。
林業の求人票には、他業種にはない落とし穴があります。給与の計算方法、装備の自己負担、社会保険の加入状況は、入社前に必ず確認すべき項目です。
月給制か日給月給制か
日給月給制の事業体では、雨天や積雪で作業が中止になるとその日の日給が出ません。年収に20〜50万円の差が生まれる要因になります。
林業の給与体系は「月給制」と「日給月給制(日給制)」の2つに大きく分かれます。林野庁の調査によると、森林組合の現場作業員で月給制の割合はまだ約29%にとどまり、約65%が日給制です。会社組織でも日給制が約61%と過半数を占めます。
日給月給制の仕組みはこうです。1日あたりの日給(相場は9,000〜12,000円程度)が決まっており、実際に作業した日数分だけ支払われます。梅雨や冬季(積雪地域)は作業中止日が増え、月によって手取りが大きく変動します。
| 給与体系 | 天候良好月 | 雨天多い月 |
|---|---|---|
| 月給制 | 20〜25万円 | 20〜25万円 |
| 日給月給制(日給1万円) | 約22万円(22日) | 約15万円(15日) |
求人票に「月給○○万円」と書かれていても、実態は日給月給制というケースがあります。「基本給」「固定給」と明記されていない場合は、面接時に「雨天時の給与はどうなりますか」と必ず確認してください。
緑の雇用認定事業体かどうか
認定事業体で働くメリットは、研修カリキュラムが体系化されていることです。研修費用は国の補助で事業体負担となるため、自己負担は発生しません。
緑の雇用の研修は、1年目に基本的な伐採・造材(丸太を規格に合わせて切り分ける作業)技術と安全管理を学びます。2年目に高性能林業機械の操作、3年目に現場計画の立案と進行管理を段階的に習得します。研修修了時には農林水産大臣名の「林業作業士(フォレストワーカー)」登録証が交付されます。
求人票では「緑の雇用対象」「FW研修あり」の記載があるかを確認しましょう。記載がない場合でも、支援センターに問い合わせれば認定事業体かどうかを教えてもらえます。



認定事業体でなくても研修体制が充実している事業体は存在します。自社で独自の研修プログラムを組んでいたり、資格取得費用を全額負担している事業体もあります。「認定かどうか」は重要な判断基準ですが、唯一の基準ではありません。
社宅・住居支援の有無
移住をともなう就職では、住居支援の有無で月々の生活コストが3〜5万円変わります。求人票に記載がなくても、必ず確認すべき項目です。
林業の勤務地は中山間地域が大半を占めます。都市部からの転職者にとって、住まいの確保は求人選びと同じくらい重要な問題です。
住居支援の種類は主に3つあります。
- 社宅:事業体が所有する住居を月額1〜2万円程度で貸し出すケース
- 家賃補助:民間賃貸の家賃の一部(月1〜3万円程度)を事業体が負担
- 空き家紹介:自治体と連携して移住者向けの空き家を斡旋
中山間地域の民間賃貸は都市部と比べれば安いですが、それでも月4〜6万円はかかります。社宅があれば月1〜2万円で済むため、年間で36〜48万円の差になります。給与が都市部の水準より低い林業において、この差は大きいです。
チェーンソー等の装備貸与か自前か
林業で必要な装備を自前で揃えると、初期費用だけで20〜30万円かかります。装備貸与の有無は実質的な年収に直結します。
主な装備と、自前で揃えた場合の目安価格は以下のとおりです。
| 装備 | 価格の目安 |
|---|---|
| チェーンソー(プロ用) | 8〜15万円 |
| 防護ズボン(チャップス) | 1.5〜3万円 |
| 防護ブーツ | 2〜4万円 |
| ヘルメット一式 | 1〜2万円 |
| 作業着一式 | 2〜3万円 |
| その他(グローブ等) | 1〜2万円 |
合計すると約15〜29万円。チェーンソーは消耗品でもあるため、ソーチェーンの目立てやバーの交換でランニングコストも発生します。
チェーンソー作業には特別教育の修了が法的に必要です。装備だけ揃えても無資格では使用できません。求人票に「装備貸与」「制服貸与」と明記されていない場合は、面接時に「チェーンソーや防護服は会社から支給されますか」と確認してください。



とくに小規模な事業体では、入社後に「自分で買ってね」と言われるケースがあります。入社前に自費で揃えすぎないこと。まず事業体に確認しましょう。
社会保険の加入状況
小規模な林業事業体では、社会保険が完備されていないケースがあります。とくに労災保険の加入状況は命に関わる問題です。
確認すべき保険は4つです。
- 健康保険:病気やケガの治療費を3割負担にする
- 厚生年金:老後の年金受給額に直結する
- 雇用保険:退職後の失業給付の基盤
- 労災保険:業務中の事故やケガに対する補償
林業は全産業の中でも労災発生率が突出して高い業種です。千人率(労働者1,000人あたりの死傷者数)は全産業平均の約10倍にのぼります。労災保険に未加入の事業体で事故が起きた場合、治療費や休業補償をすべて自己負担するリスクがあります。
林業は全産業の中で労働災害の発生率が高い業種です。安全装備の着用と法定教育の受講は、自分の命を守る最低限のルールです。
求人票に「社会保険完備」と記載があれば4つすべてに加入している意味です。記載がない場合は、「労災保険には加入していますか」と面接時に確認してください。従業員5人未満の個人事業主は厚生年金・健康保険の加入義務がないため、とくに注意が必要です。
求人サイト以外の林業への入り口3つ



「いきなり就職」だけが林業への道ではありません。体験・学習・期間限定の活動を通じて、林業との相性を確かめてから就職する選択肢もあります。
林業は危険をともなう肉体労働であり、合わない人には本当に合いません。入社してから「やっぱり無理だった」となれば、本人にとっても事業体にとっても不幸です。以下の3つのルートを使えば、リスクを抑えて林業の世界に足を踏み入れられます。
森林の仕事ガイダンスで現場を知る


林業への転職を考え始めたら、まず参加すべきイベントが全国森林組合連合会が実施する「森林の仕事ガイダンス」です。
森林の仕事ガイダンスは、新たな林業の担い手の確保・育成を目的に、森林・林業に関心を持つ人を対象とした説明・相談会です。各都道府県の林業労働力確保支援センターや森林組合連合会がブースを出し、地域ごとの林業の特色や就業までの流れを説明してくれます。
令和7年度(2025〜2026年度)は、オンライン(Zoom)での開催が2回行われています。
| 開催日 | 時間 | 参加都道府県数 |
|---|---|---|
| 2025年11月8日(土) | 10時〜12時/14時〜16時 | 38道府県 |
| 2026年2月23日(月・祝) | 10時〜12時/14時〜16時 | 38都道府県 |
30分×3回のブレイクアウトルームで、最大3つの都道府県の担当者と直接話せる仕組みです。参加費は無料。開催日程と申し込みは「緑の雇用」総合ウェブサイト「森林の仕事オンラインガイダンス」ページで確認できます。



「林業って実際どうなの?」という段階の人が、現場のリアルな情報を得るための第一歩として最適です。対面での全国版ガイダンスは令和7年度の開催予定がないため、オンラインを活用しましょう。
林業大学校で給付金を受けながら学ぶ
「技術を身につけてから就職したい」という人には、全国に設置された林業大学校が選択肢になります。「緑の青年就業準備給付金」を受ければ、年間最大155万円の給付金をもらいながら学べます。
林業大学校は、各都道府県が設置する1〜2年制の専門教育機関です。2024年4月時点で全国に20校以上あり、座学と実習を通じて林業の基礎技術から高性能林業機械の操作まで体系的に学べます。
代表的な林業大学校には以下があります。
- 長野県林業大学校(長野県):1年制。伐木・造材からドローン操作まで幅広くカバー
- 岐阜県立森林文化アカデミー(岐阜県):2年制。林業のほか木造建築コースもある
- 高知県立林業大学校(高知県):基礎課程1年+専攻課程1年。森林率日本一の高知で実践的な実習を受けられる
- 兵庫県立森林大学校(兵庫県):2年制の専修学校。西日本唯一の専修学校認定校
「緑の青年就業準備給付金」は、林業大学校で学ぶ青年に対して研修期間中に給付金を支給する国の制度です。年間最大155万円(都道府県によって125〜155万円の幅あり)、最長2年間受給できます。卒業後に林業分野で一定期間就業することが条件です。制度の詳細と対象校の一覧は林野庁「緑の青年就業準備給付金事業」ページで確認できます。
いきなり就職する場合と比較したメリットは、基礎技術を習得してから現場に出るため、ケガのリスクが下がり、就職後の定着率も高いことです。同期の仲間ができるのも心理的な支えになります。
地域おこし協力隊の林業枠で体験就業


「移住と林業の両方を試してみたい」なら、地域おこし協力隊の林業枠が最もリスクが低い選択肢です。
地域おこし協力隊は、総務省が所管する制度で、都市部から過疎地域に移住して地域活動に従事する仕組みです。活動分野は農業、観光、ITなど多岐にわたりますが、林業分野での募集も多くあります。令和6年度(2024年度)の隊員数は全国で約7,910名に達しており、農林水産業は主要な活動分野の1つです。
林業枠の地域おこし協力隊の待遇は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報償費等 | 年間最大320万円(専門性が高い場合は最大420万円) |
| 活動経費 | 住居・車両借上費等を含め年間最大200万円 |
| 任期 | 1〜3年 |
| 活動内容 | 森林組合での作業実務、森林整備、林業PR活動 |
最大のメリットは、報酬を受け取りながら林業を体験でき、任期終了後にそのまま地元の事業体に就職して定住できるルートがあることです。いきなり林業事業体に就職するよりも、合わなかった場合の撤退コストが低くなります。
募集情報は総務省の地域おこし協力隊ポータル(ニッポン移住・交流ナビ JOIN)で検索できます。フリーワード「林業」で絞り込めば、林業関連の募集が一覧表示されます。
自治体によって活動内容が大きく異なります。「林業枠」と銘打っていても、実際の作業比率が低く、事務作業やPR活動が中心というケースもあります。応募前に、活動内容のうち林業作業が占める割合を自治体の担当者に確認してください。
編集部の現場メモ
協力隊の林業枠は「お試し移住+お試し就業」のセットとして優秀です。ただし任期中に身につくスキルは配属先の事業体次第。通常の山林作業がメインの事業体と、特殊伐採(住宅地でのロープワーク伐採)を手がける事業体ではキャリアの方向性がまったく違います。応募前に「どんな作業を経験できるか」を具体的に確認してください。
林業の求人探しでよくある質問
体力に自信がない未経験者でも採用される?
採用されます。林業界は慢性的な人手不足であり、未経験者を前提とした研修制度が整っています。
「林業=屈強な体力が必要」というイメージは根強いですが、実態は異なります。緑の雇用のトライアル雇用研修(3ヶ月間)は、「林業への適性があるか試す期間」として設計されています。3ヶ月かけて段階的に作業負荷を上げていくため、最初からフルパワーで働く必要はありません。
フォレストワーカー研修(1〜3年目)でも、1年目は基本作業の習得、2年目に機械操作、3年目に現場管理と段階的にスキルアップしていきます。高性能林業機械(ハーベスタ、フォワーダ、プロセッサなど、伐倒・枝払い・玉切り・運搬を機械で行う装置)の導入が進んだ現在の林業は、かつてのように人力だけに頼る作業ではありません。
ハローワーク経由の場合、トライアル雇用助成金を使って一定期間の試用を経てから本採用に移行するルートもあります。事業体にとってもリスクが下がるため、未経験者を受け入れるハードルが低くなります。



現場で重視されるのは、体力よりも安全意識とチームワークです。指示を守らない人、リスクを軽視する人は、どれだけ体力があっても事故を起こします。
林業の年収で家族を養えるか
条件付きでイエスです。年収の絶対値は高くありませんが、生活コストとのバランスで判断する必要があります。
林野庁のデータによると、林業従事者の平均年収は約360万円です。全産業平均と比較すると100万円近く低い水準です。ただし経験年数や役職で幅があります。
| 経験年数 | 年収のボリュームゾーン |
|---|---|
| 1〜5年目 | 250〜300万円 |
| 6〜10年目 | 300〜350万円 |
| 11年目以降 | 350〜400万円 |
| 作業班長・現場監督 | 400〜500万円 |
ただし、この数字だけで判断するのは早いです。林業の勤務地である中山間地域では、生活コストが都市部と大きく違います。社宅があれば家賃は月1〜2万円、通勤は車で15〜30分程度。保育料や住居費が都市部の半分以下というケースも珍しくありません。
年収300万円で都市部に住むのは厳しいですが、月2万円の社宅と支出の少ない生活環境であれば、実質的な可処分所得は都市部の年収400万円と同等になりえます。
キャリアアップの道筋も明確です。フォレストリーダー(現場管理責任者)→フォレストマネージャー(統括現場管理責任者)と段階を踏めば収入は上がります。林業技士や林業架線作業主任者の資格を取得すれば、資格手当がつく事業体もあります。特殊伐採(住宅地でのロープワーク伐採)に進めば技術料が上乗せされ、さらに年収が高くなる傾向です。


移住前提の場合の情報収集の手順
移住をともなう林業転職は、「求人探し」と「移住準備」を並行して進めるのがポイントです。
推奨する手順は以下のとおりです。
- 候補地域の支援センターに相談:求人状況と住居支援の情報をまとめて聞く
- 森林の仕事ガイダンスに参加:オンラインなら自宅から複数地域の情報を比較できる
- 現地見学・体験:支援センター経由で事業体の見学や短期体験を手配。現地の生活環境も自分の目で確認する
- 求人応募:RINDOやハローワークで候補事業体に応募。面接は現地で行うケースが多い
家族がいる場合は、求人以外に以下の生活インフラも事前に確認しておきましょう。
- 学校:子どもの通学可能な小中学校・高校の有無と距離
- 医療機関:最寄りの総合病院までの距離と診療科目
- 買い物環境:日常の食料品・日用品の購入先
- インターネット環境:中山間地域では光回線が未整備のエリアもある



移住支援金の制度もあわせて調べておきましょう。東京23区等からの移住者を対象に、最大100万円(世帯の場合)の移住支援金を支給する自治体があります。求人探しと移住支援金の申請は同時に進められます。
経験者が好条件の事業体を探す方法
経験者は、表に出ない求人にアクセスできるルートを複数持つことが重要です。ポイントを3つ挙げます。
1つ目は業界内の人脈です。林業は従事者数が約4万4,000人と小さな業界であり、横のつながりが強いです。研修や業界イベント(FORESTRISE等の展示会、林業機械展)で知り合った人からの紹介で転職するケースは多くあります。
2つ目は支援センターへの非公開求人の相談です。経験者で具体的な条件(月給制、賞与あり、資格手当、勤務地域)を伝えれば、一般には出回らない求人を紹介してもらえることがあります。支援センターは地元の事業体の経営状況や労働環境を熟知しているため、条件面の交渉も間に入ってくれる場合があります。
3つ目はRINDOのスカウト機能の活用です。会員登録して経験・資格を入力しておけば、事業体から直接オファーが届く仕組みがあります。
転職時に活かせる資格としては、チェーンソー作業者(特別教育修了)、車両系建設機械運転技能講習修了、はい作業主任者、林業架線作業主任者、林業技士が代表的です。これらを保有していれば、条件交渉で有利に立てます。
特殊伐採(住宅地でのロープワーク伐採)の技術を持つ経験者は、とくに需要が高い分野です。ロープ高所作業特別教育の修了に加え、アーボリスト(樹木の診断・管理・伐採を専門とする技術者)の実務経験があれば、都市部の専門事業体からも声がかかります。通常の山林作業から特殊伐採へのキャリアチェンジも選択肢に入れてみてください。



